にしがはちだい先生の紹介

にしがはちだい先生(西宮 嗣) プロフィール

   にしがはちだい先生は『子ども110番』で、全国の小中高校生たちの

   悩みに対応し30年、相談活動を続けるかたわら、カウンセラーの養成、

   指導を行っています。専門分野は生涯学習、社会教育、家族社会学、                      

  カウンセリングを行ってきました。 新聞・教育雑誌等の教育評論・コラム欄、子どものため の小冊子な

   どを執筆。

   PTA・学校、全国自治体、民間団体、企業主催の講演、子育てセミナー、

   シンポジウム等に登壇(1000回を超える)、教育関係の審査等、多岐に

   わたり活動を続けています。

   このコーナーでは、にしがはちだい先生が保護者の皆様へ、子どもへの接

   し方や、子育てに関するアドバイスをピンポイントで紹介します。


【経 歴】

   ・1937(昭12)年東京都生まれ。東京学芸大学卒 教育評論家・教育問題

     研究

   ・1979年より民間子ども電話相談機関「トヨタ子ども110番」相談員、ダイ

     ヤル・サービス褐レ問 

   ・1982年より「海とさかな自由研究・作品コンクール(朝日新聞社/朝日学

     生新聞社主催)最終審査会審査員・現在審査委員長

   ・「まちに音楽プロジェクト」理事。 社団法人東京のあすを創る協会理事

   ・元東京都教育庁主任社会教育主事

  ・元東京都公立小学校長

  ・平成9年4月〜平成16年3月末 社団法人全国公立文化施設協会

      事務局次長・専門員

  ・平成15〜16年度 東京都生涯学習審議会委員・家庭教育部会部会長

  ・平成14〜16年度 東京都教育委員会 家庭教育力向上のための学習

  資料作成委員会座長                                                  

   ・平成13〜14年度 (社)日本青年会議所家庭教育委員会顧問

                                    

【社団法人全国公立文化施設協会 出版関係の執筆・執筆】
    ・公立文化会館・ジャンル別自主事業の企画ハンドブック(2003年3月)

    ・公立文化会館運営ハンドブック1〜5巻、公立文化会館のトラブル対

      応ハンドブック等 
            
*最近のシンポジウムでのコーディネーター・パネリストの実績から
    ・東京都主催「次世代育成支援フォーラム(ワーク・ライフバランス)」

    ・くらしに音楽プロジェクト主催・NYフィルハーモニー協力「パートナー

      シップを築くアウトリーチ」

    ・全国青年の家関東甲信越地区研究協議会 基調講演・シンポジウム

    ・東京都教育委員会主催「学校教育と地域活動を結ぶには」教育フォー

      ラム シンポジウム

    ・全国公立文化施設協会主催  アートマネジメントセミナー シンポジウム

   日本芸能実演家団体協議会主催 子どもと芸術文化活動 シンポジウ

      ムなど 


【主な著書】

    「子どもの心をつかむ親 見逃す親」(海竜社)、

    「Say2したい」(共著・ゆまに書房) など多数。
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                                                     にしが はちだい著                                                                           「子どもの心をつかむ親、見逃す親」
http://www.kairyusha.co.jp/ISBN/ISBN4-7593-0537-8.html

子どもたちのSOS @

「すみません。お金持ちっていくら以上貯金がある人ですか?」(小学1年の男の子)
「カンの虫ってどんな虫ですか?お母さんにはいたらしいの。おばあちゃんが言ってた」(小学4年の女の子)
「あのー、眉毛の整え方って、どうすればいいんですか?眉毛がうすいんです」(中学2年の女の子)
 難問もまじって、実に楽しい質問でしょう?「子ども110番」に回答をお寄せくださると助かります。

<親を殺して自分も死にたい>
 中学2年の彼女は息をひそめて話し始めました。夕方の6時半を回ったころで、○○線のホームのアナウンスが聞こえてきます。
「どうしたらいいかわからなくなっちゃって・・・」
― そうか、一緒にゆっくり考えようね。
「学校でも家でも居場所がない感じ・・・。お兄ちゃんはいい学校に進学して、わたしは普通の私立中学に入った・・・」
― うんうん。
「いっつも、比較されて・・・。親は私にお金をかけている意味がないって。時々、リスカ(リストカット)しちゃうよ。切ると痛いから気持ちを紛らわせられるし・・・。学校では笑えないし、どうやって死ねるか考えているの」
― だめだめ、死んではいけないよ。生きていれば、必ず、いいことが巡ってくるから。
「・・・死んでも、親は変わらない。進路なんかどうでもいい。死んで親に恥をかかせたい・・・」
 
 親には部活が忙しいと嘘を言い、実際には、○○線沿線を途中下車しては当てのない寄り道をしていると、ため息混じりにぽつりポツリ話してくれます。
― また、電話しておいで。いっぱい話しているうちに、きっといい方法がみつかるから。ここは15人も、あなたを応援するメンバーがいるからね。
 彼女は、胸のうちを吐き出して、少し気持ちが落ち着いたのか、小声で「ありがとう」と言って電話を切りました。

<悩む子どもたちのために、今、大人たちができること> 

 4月、中学に入学したばかりなのに、もう高校受験を心配して不安を訴えてくる子どもも少なくありません。親の期待に潰されそうになっているというのに、またもや追い立てているのはだれですか?13歳の時期には13歳ならではの感度で体験できるかけがえのない時間。だから、受験一辺倒であってほしくないのです。
 

 精神疾患の子どもたちからの相談が増えているのも、ここ10年間の特徴。また、携帯電話のプロフ(プロフィール)のサイトで思いもよらぬイジメを受けた子どもや、出会い系サイトで年齢を偽って加入した中高校生たちからの相談もあり、激変する社会の姿がそのまま見えてきます。

 ストレスのシャワーを浴び続けて、自分を見失いがちな子どもたち。この混沌とした状況で、今、大人たちがすべきことは、子どもが、自分自身の生き方を肯定しながら将来を描き、生きるエネルギーを蓄えていく環境を用意することです。たとえば、自然に包まれながら、五感をつかってゆったりと学び、異年齢集団の中で好ましい人間関係を学んでいく機会が極めて重要だと思うのです。
(事例は数多くの相談を再構成したものです)  ☆ にしが はちだい ☆

子どもたちのSOS A

<子どもの声を聴く基本中の基本かわいい
「どうして、学校ってあるの?」
さて、あなただったらどう答えますか?
・ 勉強して、自分の目指す仕事に就くためさ。
・ 友だち100人つくるところよ。
・ 明治5年、学制が始まって以来、世界に羽ばたく子どもを育てるためにあるのじゃ。
 
 待てよ?日頃、学校の存在意義について考えているわけがないのに、どうしてこんな質問をしたのか?
 実は、学校に行きたくないのかもしれません。
― 何か学校であったの?
 「このごろ、みんなでいじわるしてきて・・・」
 ほら、不安な気持ちを訴えてきたではありませんか。
 言葉の裏側にある気持ちを受け止める、これが子どもの声を聴く基本中の基本なのです。

<責めたり裁こうとするな。それより気分転換をネット
 東北地方の気落ちした女子高生からの電話。
 「クラスの好きな男子とおしゃべりしていて、つい、お笑い芸人の悪口言っちゃって・・・、そしたら彼が“程度低い”って離れていって・・・」
 ショックで、彼女は学校を3日間ほどお休み中。
― ストレスには温泉でゆっくり温まるのが一番。近くに街中温泉でもあればなあ。
 「あ、私の住んでいる街は、温泉で有名なんです。共同浴場もあって、入浴料は70円、シャンプーを使うと150円。小学生のとき、下校途中で道ばたの足湯に入って家に帰ったんです。バアちゃんは、うちの町の饅頭が最高だって言ってるよ」
 彼女は夢中で住んでいる町を説明してくれます。
― じゃあ、その温泉に入って、明日学校に行ってごらん。以前と変わらずクラスのみんなが迎えてくれること間違いなし。
 結果は、うまくいったとの報告で一安心。
 
 子どもの悩みを知ると、大人の側がゆらぎがちになり、むやみに原因を探ったり、諭したりしがち。子どもを問い詰めても、暗くなるばかりで結果は見えません。わが子がいじめにあったら、アイスクリームを食べに行ったり、自転車でちょいと隣町まで遠乗りしたり、気分転換することは、案外、有効な手法なのです。

<子どもの悩みに接するときのポイントむかっ(怒り)
・ 解決の答えが見つからなくもいい。気持ちを受け止めてもらえるだけで、子どもは立ち直れる。
・ 一緒に考える姿勢を。子どもの意見を聴かずに、勝手に解決を図らない。
・ 提案は一つ、多くて二つ。「〜というのはどうかなあ」と、子どもが選択できる雰囲気で提案する。子どもの年齢に合わせて、理解できる言葉で会話することはとても大事なこと。難しい言葉を並べれば、気持ちの距離が離れていきます。また、腕を組んで聞いたり、上から言葉を投げかけるよりも、しゃがんで、その子どもの目の高さで話し合えば、子どもは真剣に向き合ってくれる大人に出会ったと思うでしょう。
 そうした大人たちが見守る中でこそ、子どもたちはさまざまな活動を通じて我慢を覚えたり、達成感に喜びを感じながら、子ども自身で悩みを越える力を育んでいけるのです。
(事例は数多くの相談を再構成したものです)  ☆ にしが はちだい ☆

子どもたちのSOS A

<自分に非があれば、いじめられても仕方がない?>
 「いじめって言えるか分からないんだけど・・・、もう、学校に行きたくない・・・」
 中1の女の子の沈んだ声です。
 「クラスの男子たちが、私に近づいてきては“うざい”って言っては通りすぎるの。女子も離れていって・・・」
― いじめと言えるかわからないって言ったけど?
 「自分にも原因があるかなと思って。お母さんに、あなたは、はっきり言い過ぎるからって言われて・・・」
 それがトラブルの原因だったとしても、集団での無視や陰での仕返しは卑劣で恥ずべき行為。彼女は親友には迷惑かけたくないから相談できないと言います。
― 先生に手紙で、学校に行きたくない気持ちを伝えるのはどう?先生の靴の中に、手紙をこっそり入れて置くのも方法だよ。きっと、真剣に考えてくれるよ。
 
 楽しかったことや今一番したいことなどを話題にしているうちに、彼女は決心した様子。

「頑張ってやってみます、ありがとう」と言って電話を切りました。
 

 いじめにあっている子どもは、被害者意識より自分のいたらなさやふがいなさを反すうして、相談をためらいます。仮に自分に非があったとしても、話し合いで妥協点を見出し、お互いに認め合う中で解決するのは、共存社会の大事なルールのはず。

<死にたい気持ちの「危険信号」>
 電話相談で「死にたい」と訴えてきたら、まず、その子の気持ちをひたすら受け止め、生きていれば必ずいいことが巡ってくることを伝えます。
 不安定な様子が続くようなら、今どこから電話をしているか、踏み切り、校舎やビル、マンションの屋上など、危険な箇所にいないか確かめます。状況によって、家族親戚、学校の話しやすい教師、友だち、塾の先生や団体のリーダーなどに連絡するよう促します。
 周囲の大人たちは、その子どもにいつもと違って、気力が薄れている感じ、非常識な行動、混乱した様子、乱暴な態度、死にたいともらすなどの様子が見られたら、十分注意しなくてはなりません。専門医の受診を必要とする場合もあります。

<周囲の大人たちができること>
 なんといっても、思いやる大人がそばにいること。話をゆっくり聞いたり、少しでもストレスを軽くするために手立てを考えます。ゆったりとした音楽を聴く、温かいお風呂に入る、時には、指圧やマッサージのサービスも。穏やかな海辺の磯の岩に腰を下ろし、足を波の動きにまかせてみたり、山頂で雲海を見る、そんな場を用意してやれるのは、親を含めた大人たちでしょう。
 昼夜逆転の子どもには、食事や就寝の時刻など規則正しい生活に戻すことで、平常時の感覚を取り戻していきます。毎日、同じ時刻に同じことを繰り返すうちに、子どもは不安が少なくなり、安心感が保てるようになっていきます。
 学校裏サイトで中傷の被害を受けた子どもから、裏サイトのアドレスを教えてもらい、人を傷つけるような書き込みはやめようよと大人たちが書き込みました。子どもたちからも賛同する書き込みが増えて、やがて裏サイト自体が閉鎖されたということもありました。周囲の大人たちの働きかけは大事なのです。

 子どもたちは、自然体験や共同作業をとおして、つらい困難な状況をコントロールできる感覚を磨いていきます。成功体験は自己肯定感を高め、ストレスをコントロールできる感覚を養うことができるのです。

(事例は数多くの相談を再構成したものです) ☆ にしが はちだい ☆                          
                                                                         

子どもたちのSOS C

<中1の男子からの奇妙な相談>
 「ずっと学校に行って言っていないんですけど、町の広報に引きこもりの子どもは電話してみてね、って書いてあったんですけど、電話してもいいですか」
― いいかも!試してごらん。後で様子を聞かせてね。
 翌朝、大学生のボランティアのお兄さんがきて、水泳着をもって町のプールにいったとのこと。待ち受けていたのは、障害のある子どもたちの水遊びのサポート。後日、中1の彼は車椅子を押すなどして、疲れたけど少しは役に立ってよかったとの電話がありました。

<あの時、中退しなければよかった>
 「夜中の1時から朝6時ごろまで、新聞配達をして・・・、誰かに会わないか、緊張で吐き気をすることもあって・・・」
 ひどく沈んだ声の17歳の男の子からの電話です。
 「中1の部活のバスケで先輩とうまくいかかなくて、途中でやめて・・・。そしたら、同学年のバスケ部のヤツに会うのも怖くなって・・・中2から、ほとんど登校しませんでした」
― うんうん。
 「高校には入ったけど、2日登校しただけで、1ヵ月もしないで退学して・・・。生きるって勇気がいりますね」
 昼間は部屋で眠り、起きていればマンガとDVDの生活。同級生に出会う恐怖からこもる日々。
 「・・・友だちがほしい。高校を止めなければよかった・・・。すごく焦る、寂しいです」

<彼にどんなサポートができるか>
 暗い過去を吐き出すことで、彼の気持ちは少しずつ安らいでいきます。気持ちを受け止める。このことで、生きる勇気が少しずつ湧き出てきます。次に必要な回復条件は、サポートしてくれる大人が身近にいることでしょう。
 もしも、彼が中学時代の不登校気味のときに、彼を訪れて誘い出す『家族以外の大人たちがいたら!』と思うのです。人とのコミュニケーションの機会や作業を得ながら、彼自身の肯定感を高めて自分を取り戻していっただろうと思うのです。
 子ども110番では、彼が足を向けられそうな社会教育施設やボランティアセンターなどの所在地を調べて、電話番号を伝え、勇気を出して電話してごらんと誘ってみます。気持ちを上手に受け止めて、誘い出してくれる職員がいるかもしれないからです。
 

 子どもは出会いと交流、協働作業を通じて育まれていきます。そうした時間の流れの中で大人達の姿を盗み見しながら、自分の将来像を描く。いろいろな人と接するなかで、あるがままの自分を受け入れ、自分を認めていく。その過程にあって、「強さと優しさ」を蓄えていきます。
(事例は数多くの相談を再構成したものです) ☆ にしが はちだい ☆